農家というと昔ながらの「スキとクワで畑を耕す」「過酷な農作業」というイメージ? それとも「のどかに家族が食べる分だけをつくる」「晴耕雨読で悠々自適」そんなイメージ? 実際には農家の数だけ農業のやり方があり、もはや画一的な農業の姿はないという。
そんな農家について楽しく語り合うセミナー「100農家いれば100通りの農業」が2月14日、東京都中央区日本橋のサイボウズ東京オフィスで行われた。
セミナーではサイボウズのkintone(キントーン)を導入した農家やJAに加え、農林水産省などの農業関係者、サイボウズの担当者らが登壇し、さまざまな事例や成果をにぎやかに共有した。ここでは全10セッションを振り返る。
オープニングセッション「100農家いれば100通りの農業」
農業ジャーナリスト 窪田新之助氏
サイボウズ アグリ担当 中村龍太氏
opnlab 小林利恵子(モデレーター)
オープニングセッション「100農家いれば100通りの農業」では、農業ジャーナリストの窪田新之助氏と、サイボウズ アグリ担当の中村龍太氏が対談。モデレーターをopnlabの小林利恵子が務め、今回の企画の趣旨などを解説した。

■農業とのかかわりは?
窪田:農業ジャーナリストとしていろいろな仕事をしています。その中のひとつとして、21世紀政策研究所で情報化によるバリューチェーンの構築というプロジェクトをしていますが、その時に龍太さんにお手伝いしていただき、今回のご縁となりました。

龍太:司会の中村龍太です。サイボウズだけでなく百姓としても働いております。サイボウズでは社長室でアグリ担当、そしてNKアグリというリコピン人参やレタスで有名な農業の会社の社員でもあります。窪田さんとは、イベントでモデレーターをお願いされ、仕事をご一緒するようになりました。

小林:最初、お二人のどちらから声をかけられたのですか。
窪田:4年前、時事通信社の記者の方から「農業をやっていてITに詳しい変な人がいる」という話を聞き、覚えていました。昨年、日本経済新聞社主催の農業とテクノロジーをテーマにしたイベントの企画段階で「情報化とバリューチェーン」というセッションを設けたいと考えていた時、真っ先に浮かんだのが龍太さんでした。延べ3000人を超える人が来場しましたね。
小林:注目されているテーマだからでしょうか。
窪田:米国では、ここ3年でアグリテック(AgriTech=Agriculture+Technology)に関する投資は約1兆円行われているそうで、非常に注目されている分野です。
■農業とkintoneの関係は
小林:今回、龍太さんに考えていただいた「100農家いれば100通りの農業」というテーマですが、まったくその通りだと思うのです。農家は規模もさまざまなら作物もさまざまで、しっかり農業を伸ばしたいけれど、なかなか成長にまで手が回らないというのが実情。そこでIT、そしてkintoneが手助けをできるのではないか、というのが今日のセミナーの趣旨の一つです。今日は農家の方だけでなく、産官学さまざまな方に参加していただいており、それぞれの視点から多面的に、そして具体的に見ていただき、情報を持ち帰っていただけるのではないかと思っています。
龍太:学びの場ですが、それぞれ15分ほどのセッションで語りつくすことはできないため、今回はきっかけづくりをしていただきたいと思っています。
小林:皆さんこちらに来たということはkintoneはご存じということですか。挙手をいただければありがたいです。
(多くの人の手が挙がる)
龍太:すごいですね(笑)。
小林:もう説明しなくていいですかね(笑)。
龍太:使っている人は?
小林:半分くらいですね。いちおう、開発の経緯と使い方をイメージする場面の解説をしておきましょうか。龍太さん、お願いします。
龍太:まずはサイボウズという会社の成り立ちから説明いたします。もともとは愛媛県の松山市で、3人で起業した会社です。ちょうど20周年を迎え、今は従業員数643名という大きな会社になりました。日本だけでなく米国、中国、東南アジアに拠点を持っています。
kintoneも含まれるグループウェアと呼ばれるシステムを主に開発しています。製品開発の目的は、情報を共有し「効果・効率・満足・学習」を高めようということです。おかげさまで多くの方にお使いいただき、日本ではトップシェアを頂いています。
サイボウズという会社には「チーム」というキーワードがあり、「チームワークあふれる会社に、チームワークあふれる社会にしたい」というミッションの下に仕事をしています。その中でkintoneというアプリがあり、今日はこれを使って「農業も一つのチームになったほうがよい」という思いを伝えていけたらと考えています。
農家は、小さなところは一家族でやっていて、ひょっとすると独りぼっちのような感覚で農業をしている方もいるのではないでしょうか。私たちは、この方たちにもっと地域のチームに、さらに地域を超えたチームになってほしいと思っています。今日登壇される方は、多くがすでにチームになって農業をしている方たち、もしくはチーム化が見えている方たちです。
さて、kintoneがどのようなものかを、ここで紹介したいと思います。「100農家いれば100通りの農業」のテーマのとおり、農家さんが管理したい情報はそれぞれ異なります。ですからkintoneは、必要な項目をカスタマイズして使用できるようになっています。例えば「どの作物が」「いつ」「どれだけ採れたか」という情報を入れたい場合は、「日付」「野菜名」「圃場」「数量(パレット)」と入れていくだけで、すぐにチームで情報を共有できます。
このようにkintoneは、簡単にデータ共有のアプリを作成できるのです。実際にいろいろな農家さんが使っています。
■農家とITの進捗度は?
小林:農家さんでITやクラウドを使うなどの取り組みは進んでいますか。
窪田:統計がありまして、5年前のデータでは、回答した農家の半数がITを使っていました。ただ、その中身はインターネットを使って防除や気象のデータを調べるといった程度で、クラウドを使うような本格的な取り組みはまだ非常に少ないというのが、現場の実感です。
小林:では今回、お話しいただくのは最先端の方という認識でいいでしょうか。
窪田:そうだと思います。
小林:今回、登壇される方以外で、面白い連携の事例はありますか。
窪田:つくば市のHATAKEカンパニーという会社はベビーリーフなどを作っているのですが、まったく農外から参入されて、20年で年10億円の売り上げを上げるようになりました。ここは畑にセンサーを取り付け、積算気温を計測し、ベビーリーフの収穫時期を予測しています。また、Excelにより生産量を大まかに計算・把握し、種をまいてから発芽するまで、そして生育するまでを計算し、だいたいどの時期にどれだけ採れるかということも予測しています。同社は、この管理システムを契約農家へ提供し、全国で120ヘクタールを展開し、さらに急成長しているのです。
小林:農家がビジネス領域で抱えている課題などはありますか。
龍太:「経験とカンによらない農業」というキーワードで行くと、「温度」「湿度」などといった環境のデータはIoTで入力できます。一方で、出口部分である「収穫高」との相関関係を見るような場合、「どれくらい」「いつ頃伸びた」「本葉からどれぐらいの葉っぱが出た」いった内容は調査が難しく、調べる人がいないのです。
ロボットやIoTが解決できればいいのでしょうが、そのようなパーフェクトな技術は今のところありません。ですから、こういった人たちが寄りそえるチームづくり、チームの中に調査を担う部署づくりをしていければ素敵だなと思っています。
窪田:いま農家の方から出てくるのは、人手不足の話。大分で大面積の農業をしている知人も、耕作地を広げれば広げるほど人手不足となってしまうと嘆いています。このため、ロボットの開発をしてほしいという声があります。去年、RobiZy(NPO法人ロボットビジネス支援機構)という、ロボットを作ろうという団体ができました。皆さんもこの団体に注目していただければと思っています。
小林:ロボットで、というのは刈り取りなどですか。
窪田:試験中のロボットはセンサーが付いており、畑の中をモニタリングするものがあります。また、種まきや収穫に関する一連の作業を1台でできるロボットが年内にできるとも聞いています。
■セミナーのポイントは三つ
小林:今日のセミナーで意識して聞くポイントなどを教えてください。
窪田:一つは「経験とカンから、科学とテクノロジー」へのシフト。NKアグリや門川高糖度トマト組合などはそういった取り組みをされていると思います。龍太さんが先ほど言っていたつながりでは、「新たな連携」ができているという点。「農福連携」などが行われた事例も紹介されます。最後に、「ITは難しくない」ということを今日のセミナーで感じていただければ、うれしいです。
小林:ありがとうございます。ぜひ、この後のお話を楽しみにしていただければと思います。
「GAP(農業生産工程管理)とkintone」(神奈川)
kintoneでGAP(農業生産工程管理)認証を獲得した事例と今後のGAPの展望
元気もりもり山森農園 山森壮太氏
サイボウズ JGAP指導員 雲岡純司氏

元気もりもり山森農園は、一般的な農家が大きくなって法人化した会社で、ニンジンやダイコン、キャベツを作っている。同社では2013年、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証「J- GAP」を取得し、2017年に「ASIA GAP」に更新した。この認証は、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会で食材調達の基準にもなるものだ。

同社では、障害者施設「虹の橋」も運営しており、除草や収穫、洗浄、袋詰めなど、一部の作業を彼らに委託している。このおかげで、社員は時間に余裕ができた。
「虹の橋」でも、利用者の事業所に通う時間や日数が増え、能力の開発が進み、従来以上の働きをする利用者も現れた。従来は近隣の菓子店でクッキーを焼く仕事をしていた人もいたが、農業のほうが給料を高くでき、この事業を推し進めることにした。工賃が全国平均より高い14000円以上で、生活保護から脱却できたという人も現れ、理想的な「農福連携」が実現している。
山森氏は「障害を持っている人も、みんな働ける。農業をすることでアトピーが治ったり、生活習慣が改善したりという効果もあり、それに合わせて当社以外への一般就労ができるようになった人もいる」と振り返る。
しかし、農園では、多くの障害者の就労を受け入れたため、職業支援員や生活支援員などとの連携がうまくいかず、障害者が農作物の安全性を脅かす行動を取ってしまう心配まで出てきた。これを解消するために「GAP(Good Agricultural Practice)」を導入した。
GAPは播種から消費者に届けるまでの行程を区切り、部分最適と全体最適をしていくもの。このため、行程管理では、社員が苦手とする事務作業が増加してしまった。また、その内容を共有したいとも考えたが、紙やExcelベースでは難しかった。山森氏にはGAPのための管理だけでなく、経営者としてはコスト管理もしたいという思いがあった。「そもそも農園全員で取り組まないとGAPの意味がないという考えもあった」と山森氏。そこでkintoneの導入となった。
実際の運用でいちばん使っているのが「おしらせ」のカラムで、トレーサビリティーを行う際、「どれが」「いつ」「どこで」収穫されたかを追いかけている。Excelでこの作業を行っていた時はルックアップの機能を使いマクロを組んだが、使っているうちに誰かが消す、使い方が分からないといった声が上がった。

▲ 誰がどのような作業をいつしているか

▲生産計画表
kintoneでは、農場ごとの基本的な情報とつながっていて、そこから「農薬」や「肥料」をどれくらい使ったかを自動で計算してくれる。またいちばん下には直接的な原価を出せる項目もある。また、出荷記録から「土壌」の記録につながるなど、必要な情報の逆引きが可能で、しっかりとしたトレーサビリティーができる。
同社では13枚の圃場があり、すべてで2期作をしているため、Excel管理では限界があった。kintoneの場合、取引先への情報開示の際はExcelへの出力ができ、各流通のフォーマットを入力しておけば、基本的な情報をすぐに開示できる。

▲左から、山森氏、雲岡氏
サイボウズの雲岡氏は、「6次産業プロジェクトの中で、GAPの指導員認定を取った。神奈川初のGAP認証圃場である山森農園で視察のためにアプリをつくられていて、そのお手伝いをしたという経緯がある。今後もさまざまなアプリ開発に協力していきたい」と語った。
「農福連携とkintone」(埼玉)
農福事業の実際と山森農園との連携
障害者が受け持つkintoneでの仕事
埼玉福興 新井利昌氏
本庄早稲田国際リサーチパーク 佐藤徹氏
佐藤徹氏は今回、埼玉福興代表の新井利昌氏の代理で登壇。公益財団法人の本庄早稲田国際リサーチパークで産官学連携コーディネーターを務めている。

▲佐藤徹氏
新井氏はビデオレターで出演し、「楽しみにしていたが、行けずに残念である。当社はソーシャルファームという社会的企業を運営しているFARM(農場)であってFIRM(企業)。そこでは障害のある方や、ニートや引きこもり、シングルマザーなど、社会的に働きづらさを抱えた人を支援する取り組みをしている。kintoneは、当社とスタッフ、またはスタッフ同士のコミュニケーションツールとして使用。これは人間の能力が足りない部分をAIやICTが補うスタイルで、新しいオーガニックのスタイルとなるものだと考える。まずは人が中心の農園を目指しており、障害者雇用でのkintone運用を皆さんにお伝えできればと思う」との考えを伝えた。

▲新井利昌氏
ソーシャルファーム(Social Firm)は、労働市場で不利な立場にある人の雇用を創出するための社会的ビジネススキームである。1975年北イタリアで生まれた概念である。精神障害をおった方が社会にとけこむため、閉鎖病棟ではなく開放病棟としての社会復帰を支援しようとした。しかし当時はまだ社会の受け入れ態勢ができておらず、看護師自身が「企業を作ってしまおう」と、この取り組みを開始した
埼玉福興は、このソーシャルファームの日本の先駆けとなる取り組みをするとともに、福祉の枠組みからこぼれ落ちてしまうような社会的弱者を救済することも目的としている。この社会的弱者の数は人口の15%にあたる2000万人とも言われており、今後増えるという予測もある。
埼玉福興は、そのような社会的弱者の集まるグループホームとして新井氏の父が設立。当初は内職などの仕事を請け負っていたが、社会事情の変化から次第に立ち行かなくなり、農業に転じた。農場経営は精神障害者にとってメンタルを向上する効果があり、その点でも非常に注目されている。
農場の規模は水耕栽培(水耕葉物)が600坪、野菜苗・花卉が400坪、圃場が4ヘクタール、オリーブも2ヘクタールで栽培し、商品は国際的なコンクールで金賞を獲得している。また、最初に発表があった山森農場は、先代の時代から交流がある。
一般的に障害を持った人の施設は国による区分けでA型とB型が存在する。A型の施設は障害者との雇用契約を結ぶもので月の給与は7万5000円ほど、B型は契約の必要がなく1万5000円ほど。このためB型の場合はほとんどが生活していくことができない。埼玉福興ではこれをA型にしていく施策をしている。それも国の補助金を得るのではなく、農業でこれを賄うことを目標としている。
このソーシャルファームによる農場経営で出てくる課題を解決するために使用しているのがkintoneだ。

何が原因でどうなったかという関係図を作ってみると、やはりしっかりとした生産管理ができていない。しかしそれ以前に重要なのは、チームがきちんとできていないと生産管理もできないよね、と明らかになったことだ。

例えば「誰かが休んでも、他の人に仕事が割り振られる」「業務、知識、ノウハウが共有される」「チームの核になる人間が障害者の中から育つ」といったことだ。それを、kintoneで賄えることが分かった。

▲ノウハウの共有1

▲ ノウハウの共有2
デモンストレーションでは農福連携の部分を紹介。スタッフの「体調管理」について4段階で表現しており、「自己管理」といった項目も入れ込み紹介した。

▲体調管理
「自己管理」では、日々の体調について本人のコメントがあることから、普段言葉をほとんど発しないスタッフの声がコメントとして上がり、社員同士のコミュニケーションと共有に発展し、チームづくりに効果があったという。

▲コメント欄
また、「GAPの工程管理」については、山森農場のkintoneのアプリを提供してもらうなど、他農場との連携にも発展している。
「IoT農業とkintone」(和歌山)
IoTが農業にもたらすもの、IoTを利用したkintoneの紹介
NKアグリ代表 三原洋一氏
ジョイゾー 山下竜氏
NKアグリの三原洋一氏は、「kintone AWARD 2015 ファイナリスト」で「kintone AWARD 2016 審査員」を務めている。「Good Design Award 2017」では「ものづくり特別賞」「Best 100」に選出されるなどで活躍している。

▲三原洋一氏
ジョイゾーの山下竜氏は、kintoneエバンジェリスト。ジョイゾーはkintoneの導入支援を行う会社で、山下氏いわく「100%kintoneでご飯を食べている」という。昨年はサイボウズの米国子会社に70日間出向するなど、同社とのかかわりが深い。
NKアグリはノーリツ鋼機の農業分野コーポレートベンチャーとして立ち上げ9年目の会社。kintone導入のきっかけは交通費清算だった。三原社長が和歌山の本社と関東の自宅の行き来の書類手続きに手間がかかっていたため、kintone に置き換えた。これはステップ1である。第2のステップでは約3カ月かけて、同社の40ほどある業務をkintoneに集約。そこから社員の情報共有がうまくいった。そして、第3のステップとしてIoTでの栽培管理を行っている。
山下氏は「kintoneのいいところは、事業のスケールに合わせてその内容を広げて、便利に使っていけるところ」と分析する。

NKアグリで生産しているリコピン人参「こいくれない」は通常の人参にはほぼ含まれないリコピンを含有しており、甘く、赤いことが特徴。ダイエーなどで販売しており、ジュースのような加工品もある。この「こいくれない」は、当初NKアグリの自家生産のみだったが、現在は日本各地にある50カ所の提携農家で栽培している。
栽培では、南北に点在する全国7カ所の農場にセンサーを設置。栽培面積や播種密度、発芽率などの情報を基にニンジンの成長や機能性成分量に関わる環境因子の解析、特定し、kintone上で収穫時期を予測できるようにしている。センサーからIoTクラウドを挟み事象を解釈してから、必要な分の情報だけをkintoneに入力しているのもシステムの特長だ。
また、kintoneを使うことで各農家が集荷時期をずらし、年間を通した安定供給が実現した。
デモでは、センサーから得た積算温度を計算し、前年の積算温度の記録から目標温度を設定していることを紹介。kintoneのプラグイン機能を使用し、各地の農家がそれぞれの目標温度で活用できる仕組みとなっている。

三原氏は「kintone活用のポイントは生産管理ではなく販売管理」「もともと工業からきたので製品の製造を制御するように、野菜の生産制御に挑戦したが、これは非常に難しかった。また、消費者の需要も制御できない」という。
この生産と需要をどう管理していくかが重要で、担当者が独自のKPI(Key Performance Indicator)をもっており、数値をkintoneに入力。「定量的な実績数」に対し、毎日の作業報告の後で担当者がコメントし、営業や他部門と議論することで、どう売り分けていくかというコミュニケーションをしていく。これにより、売り残しがなくなり、製販の需給調整の精度が劇的に向上した。
もともと野菜プラント(工場)を運営しているNKアグリだが、2009年の設立から4年で生産量が30%増加。一方で販売ロスは劇的に減り、通常の農家よりグラムあたりの売価が最大8倍となっている。

▲コメント欄で議論
kintoneのコメント欄は、生産をみている担当者も営業担当者も出先からも書き込みでき、社員がすべて共有できる点も便利。「売り残しがなくなり、コミュニケーションができるようになった。相手の考えがわかるので、社内のケンカが少なくなった点がありがたい。そこがIoTなどよりも大事」と三原氏。また「流通はAIを使った自動発注が始まっているのに、農業はそれについていけていない。産業として継続するなら、野菜を制御するのではなくテクノロジーを使い収穫時期を予測し、流通とのすり合わせを進めていくことが必要」と締めくくった。
「野菜ソムリエによる食の祭典」登壇農家の食材を利用したレシピ紹介
野菜ソムリエプロ・オーガニック料理ソムリエ 松本久美子氏
野菜ソムリエプロ 土師智子氏
野菜ソムリエプロ 栗原美由紀氏
前半の最後「野菜ソムリエによる食の祭典」と題したセッションでは、NKアグリのリコピン人参普及で活躍している「こいくれない」アンバサダーの野菜ソムリエプロ3氏が登場した。今回は懇親会のために、登壇農家が野菜を提供。その野菜を材料に野菜ソムリエが腕をふるった。

▲ 左から栗原氏、土師氏、松本氏
ウェルカムドリンクとして用意されたのは、こいくれないで作ったジュース「こいくるん」をスパー